よくここまで

本当に愛されているとき、これが愛だとわかる。


14歳から通い続けた病院を今日やめた。
通い続けたといっても、調子がいいから通わない、ような時期もあったけれど。

仕事をやめて、月に一度通うようになった。
けれど、今の家からは遠くて。
熱が出てどうしても動けないために、知人に頼んで、代わりに薬を受け取りにいってもらうこともあった。

もうそんな迷惑のかけ方は嫌だから、今日やめた。

紹介状を書いてもらって、近くの病院に移る。


先生は50代後半くらいの女性で、10年間変わらずわたしを見ていてくれたひと。

「今日で終わりかあ、寂しいね」ってまじまじとわたしの顔を見つめる。

「あなたはほんとうに、よくここまで……ね」
感慨を込めて笑ってくれる。

よくここまで、生き抜いた。
よくここまで、がんばった。
よくここまで、元気になった。
よくここまで、大人になった。

じゃあね、って、両手を差し出してくれる。
わたしも両手を差し出して、握手する。

先生はわたしを好きだ。愛している。
そうわかる、先生のすべて。

わたしは先生をあまり知らない。
だから、愛しているとは言えない。わからない。
けれど、愛されていることはちゃんとわかるんだ。


ちゃんとわかることが、この世界にあって、よかった。